2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[302] 2001年09月19日(水)
「小さな判断材料」

10年くらい前、冷やかし半分で写真講座の資料請求ハガキを出したことがある。このハガキを出すと、もれなく「写真のコツが書かれた小冊子」がもらえた。それに興味があった。
だが簡易印刷の小冊子は見た目にも面白くなく、ほとんどグリコのおまけ状態。
それよりも豪華なチラシのほうに目を奪われた。1色刷り(モノクロ)の小冊子よりも、4色刷り(カラー)チラシのほうに目が行くのは当然。
これ以降、定期的に入会申込書とチラシが届くようになった。

その豪華チラシによると、写真の基礎や作品の添削指導などがあるという。手っ取り早く写真を始めるには良いかも知れない。下手に自己流でやるよりも、体系的な知識を得るという意味ではこういう講座が必要とされるのだろう。

それにしても、チラシに使われているイメージ写真は印象的だった。特に説明があるわけではないが、考え無く見れば「この講座を受講すれば、こんな写真が撮れるようになります」と言っているように解釈してしまう。
まあ、それはウソでも誇大広告でもあるまい。何事も努力次第である。
ただ、その写真の古めかしさが少々引っ掛かる。その写真から受ける印象から、講座そのものがB級ではないのかという思いを拭えない。

この手の写真はたいていの場合、フォトライブラリーのレンタルだと思われる。写真レンタル料を節約するためには、新しい写真に差し替えることは出来ないだろう。
たとえ1枚の写真を差し替えようとも、結局は全ての印刷固定費が再度発生する(Y・M・C・BL各版4枚分のフィルム出力や、実際に印刷機にかけるための刷版など)。つまり金が掛かる。

既存のフィルム原版を利用し続ける増刷分の予算しか想定していない広告宣伝費からは、新たな費用は出しにくいと思う。毎年のように「来年こそは刷新しよう」と思いつつも、いつしか時代は移り変わってしまった・・・。

あるいは、そもそも写真の古さに本当に気付いていないということもあり得る。もしそうならば、これはブラックジョークにも近い。視点鋭く表現するはずの「写真」という趣味において、時代の流れに鈍感な者から教えを受けることになるのだ。

40年くらい前の写真入門書を見てみると、「女性を撮る時は変化を付けるために手を頭に添えたり腰に手を当てたりすると良い」などと書かれている。今考えるとかなり抵抗がある。モデルにそんなポーズを頼むのも気が引ける。
まさかその写真講座はそこまで古くは無かろうが・・・、チラシに掲載されている写真を見ると冗談に思えなくなるのがオソロシイ。

人間というものは、限られた判断材料から全体像を想像する。 判断材料が少なければ少ないほど、小さな手掛かりを基にしなければならない。それはつまり、ごく小さなことであっても大きな影響を与えるということを意味する。
この場合、我輩はチラシの写真の古めかしさに影響されて講座の内容自体の古めかしさを想像した。チラシを製作する側から見れば、全く小さな事であったろうが。

印象に訴えかけるという目的がある以上、広告宣伝費というのは、削っていい部分と悪い部分があると言える。ヘタに切り崩せば、それは結局逆効果に終わる。

どうりでテレビCMなどは、小さな判断材料を飾り立てるために莫大な金を掛けられているわけだな。